AIに文章を直してもらうと自分の言葉は残る?
Q / AIに文章を直してもらうと自分の言葉は残る?
編集部の回答
直す範囲の指定によって変わります。Claudeでは、誤字だけの修正は言い回しを残しやすく、「もっと良く」と頼むと結果がばらつきました。残したい言葉と修正の範囲を先に伝えます。
検証の条件は下記をご確認ください。Q&A編集日: 2026-10-02。読者投稿ではなく、編集部が検証記事をもとに回答しています。
自分の言葉が出力にどれだけ残るかを、依頼の仕方を3通りに変えて測った。同じ内容の短い日記5本を、Claude の haiku に「メモから書かせる」「誤字だけ直させる」「もっと良くさせる」の3条件で、各2回ずつ計30回処理させた。
自分の下書きの言い回しが残った割合の平均は、誤字だけ直させると97%、もっと良くさせると51%、メモから書かせると24%だった。
「もっと良く」は条件が緩く、残る割合が8%から89%まで大きく散らばった。この検証は Claude だけで行い、ChatGPT などでは試していない。
丸投げは、AIの文章を確認せずにそのまま出すことだ。下書き利用は、自分でまず考え、AIの文章を材料にして自分の判断で直す使い方だ。
同じAIを使っても、間に自分の判断が入るかで結果は変わる。ここでは「判断が入った文章に、自分の言葉がどれだけ残るか」を測った。
実行日は2026-10-01。モデルは claude-haiku-4-5-20251001。ツールもWeb検索も無しで、1回ごとに新しい会話。下書き5本は編集部が書いた100〜120字の日記で、1本ごとに要点メモ(同じ内容の箇条書き風の文)も用意した。3条件の入力は次のとおり。
A: 次のメモをもとに、日記の文章を150字程度で書いてください。文章だけを出力してください。
メモ: {要点メモ}
B: 次の私の文章を、誤字と読みにくい所だけ直してください。内容や言い回しはできるだけ変えないでください。直した文章だけを出力してください。
{下書き}
C: 次の私の文章を、もっと良い文章にしてください。文章だけを出力してください。
{下書き}
下書きの例(d2)。
駅前の八百屋さんが今月末で閉店するらしい。小さい頃からトマトはいつもあそこで買っていたから、なんだか寂しい。おじさんが「形は悪いが味は保証する」といつも言っていたのを思い出す。最後の週に、お礼を言いに行こうと思う。
指標は、下書きの5文字連続(句読点を除く)のうち、出力にそのまま残っていた割合。Aは下書きを見せていないので、メモと語が重なる分だけが残る。
| 条件(各10回) | 残った割合の平均 | 最小 | 最大 | 出力の平均文字数 |
|---|---|---|---|---|
| A メモから書かせた | 24% | 8% | 41% | 174.8 |
| B 誤字だけ直させた | 97% | 88% | 100% | 108.8 |
| C もっと良くさせた | 51% | 8% | 89% | 123.5 |
B は最小でも88%残り、ほぼ自分の文章のままだった。C は同じ下書きでも、2回目で割合が大きく変わる例があった。
d2 を B で処理した1回目。直す所が無く、元の文のまま返ってきた(残った割合100%)。
駅前の八百屋さんが今月末で閉店するらしい。小さい頃からトマトはいつもあそこで買っていたから、なんだか寂しい。おじさんが「形は悪いが味は保証する」といつも言っていたのを思い出す。最後の週に、お礼を言いに行こうと思う。
同じ下書きを C で処理した1回目。構成も言い回しも書き換わり、元の文は35%しか残らなかった。
駅前の八百屋さんが今月末で閉店するらしい。子どもの頃からトマトをはじめ、季節の野菜はいつもあそこで選んでいた。「形は悪いが味は保証する」―あのおじさんの言葉が、今になって心に深く響く。失われようとしているこの場所へ、最後の週には必ずお礼を言いに行きたい。
生ログ: EXP-08 の全記録
- 下書きは編集部が書いた5本で、各100〜120字。長い文章や別の題材では割合が変わり得る。
- 「残った割合」は言い回しの一致であり、考える力そのものを測ってはいない。
- A はメモと下書きの語が重なるため、0にはならない。丸投げの下限としては読めない。
- Claude の haiku だけ。sonnet も ChatGPT などの他のAIも試していない。
以下の手順の効果は、今回の実験では確かめていない。
1. 自分の考えを箇条書きで3つほど書く。完璧でなくてよい。
2. 箇条書きをAIに渡し、文章に整えてもらう。「内容は変えず、順番も大きく入れ替えないでください」と添える。
3. 出てきた文章を読み、自分の実感とずれた箇所に印を付けて、自分で直す。
今回の結果から言えるのは、「どこまで直すか」を依頼文で縛ると、自分の言葉が残るという点だ。
AIの文章は語が揃いやすい。数えた結果は AIの文章は似るのか にある。
- 誤字だけ直させると97%、もっと良くさせると51%、メモから書かせると24%。
- 「もっと良く」は結果が散らばる。残したい言葉があるなら、直す範囲を依頼文で縛る。
- 考える力そのものの変化は測っていない。